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反抗のために、バイクを盗む必要はない
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遠ざかる尾崎の叫び 没後15年 若者は変わったか
(朝日新聞 2007年4月19日朝刊、26面)

 シンガー・ソングライターの尾崎豊が亡くなって25日で15年を迎える。若い世代の反抗と苦悩を描き、いかに生きるべきかを探し続けた歌は、今や教科書にも登場する。「若者たちの教祖」「10代の代弁者」といった従来のイメージから変化が見られる一方、肝心の若者たちの心にその歌は届いているのだろうか。(宮本茂頼)
 (略)
 <盗んだバイクで走り出す>(「15の夜」)、<夜の校舎 窓ガラス壊してまわった>(「卒業」)。社会へのいらだちを過激につづった歌詞は教育現場にそぐわないように見えるが、意外にも「現場の教師から、自己の生き方を模索する代表例と勧められた」と[倫理の教科書に歌詞の一節を掲載した]教育出版の担当者は言う。
 (略)
 <人は誰も縛られたかよわき子羊ならば 先生あなたはかよわき大人の代弁者なのか>。窓ガラスを壊す一節が注目されがちな「卒業」だが、学校や教師との単純な対立軸に回収しきれない戸惑いこそがこの曲の魅力を作り出している。
 (略)
 「学生の反応は年を追うごとに悪くなっている」と精神科医の香山リカさん(46)も言う。00年頃から大学の授業で「卒業」などを聴かせている。当初から「この怒りがどこから来ているか分からない」という意見はあったが、最近はきっぱりと否定的な感想が目立つという。
 「周りに迷惑をかけるのは間違い」「大人だって子供のことを思っているのに反発するのはおかしい」。体制や大人に反抗するのはいかがなものかという声だ。香山さんは「これまで成長のプロセスにおける仮想敵だったはずの親や先生の善意を屈託なく信じている」と首をかしげる。
 (以下略)
++++++

 私は、「首をかしげる」精神科医氏ではなく、「周りに迷惑をかけるのは間違い」とコメントした学生の方に共感する。少し考えれば分かるはずだが、「体制や大人に反抗する」ことと、「周りに迷惑をかける」ことは、次元が違う別の問題だ。
 コメントを寄せた精神科医氏や、当然それに共感して彼女の言葉を引用したのであろう記者氏は、「体制や大人に反抗する」子供が、自分の車を盗んだり、自分の家の窓ガラスをぶちこわしたりした時、「体制や大人に反抗する子供たちは、私の物をもっと盗みに来なさい、壊しに来なさい」と胸を張って言うのだろうか。

 繰り返すが、体制や大人に反抗することと、周りに迷惑をかけることは、次元が違う別の問題だ。だから、「周りに迷惑をかけるのは間違い」と言った学生が、体制や大人のいうことになんでもホイホイ付き従うのかどうか、それはわからないだろう。むしろ、この信念を確かに持つならば、「周りに(あるいは私に)迷惑をかける」体制や大人には反抗するはずだ。
 そして、その「反抗」の形態は、さまざまでいい。例えば、「周りに(あるいは私に)迷惑をかける」大人を見た時に、「あんな大人にはなるまい」と思い、それを実践するならば、それは一つの立派な「反抗」であり、積み重なれば社会を変えうるに違いない。ぬーすんだばーいくではーしりだしたり、よるのこーしゃまどがらーすこわしてまわーるような、誰かに迷惑をかける「物理的反抗」だけが反抗の形態ではないのである。「物理的反抗」が見られなくなった、それへの共感が少なくなった、というだけで、子供が反抗心を失ったと嘆くのは、哀れな短絡だ。

 以下はついで。記者氏は、「学校や教師との単純な対立軸に回収しきれない戸惑い」が、尾崎豊(の歌)の魅力だと言っているが、では、「大人だって子供のことを思っている」という学生の意見を切り捨て、「親や先生」を「仮想敵」にしてきた「これまで」の子供が望ましいように言う精神科医氏の、「単純な対立軸」に「回収」されたコメントを、これぞとばかりに紹介するのはどういうことだろうか。
 記者氏も引くように、尾崎豊は「人は誰も縛られたかよわき子羊ならば 先生あなたはかよわき大人の代弁者なのか」という。彼もここで、何者か(それを「体制」と呼びたければ呼べばいいが)に「縛られた」「先生」を「敵」にしても虚しい、と言っているのではないか。だからこそ、歌の登場人物の虚しさはぶつけどころの分からぬ激しい怒りになり、窓ガラスに向かうのだろう。だが繰り返して言うが、私はその虚しさや怒りが、窓ガラスを壊して(周りに迷惑をかけて)いい理由になるとは思わない。

 結局のところ、記者氏は、自分の好きなものが現在の若い世代に受け入れられないことの「いらだち」をぶちまけているに過ぎない。要するに、「今の若いもんは…」と言いたいだけなのだ。私は昔から尾崎豊の歌にはさっぱり共感できないクチだったが、彼は、この記者氏みたいな「かよわき大人」と闘っていたのかもしれない、と思った。
| ちょっとまじめに | comments(3) | -
コメント
sjoさん、お久しぶりです。
おいらもこの記事を新聞で読んで
「はて」と思った口でして。

いや、まさにおっしゃるとおりかと。

尾崎豊については
万物に八百万の神あり の精神のおいらにとっては
「窓ガラスに罪はないやんけ」
と、鼻で笑ったモンです。
当時10歳。

反抗期が少々早まった感のある"若者"
(実証はできません。あくまで教壇に立つ私の実感)
ですから、話が通じるようになるのも、早い。
大体15歳でほとんど話が通じますな。
そうなると
大学生に聴かせたって、もう実感を持って
彼の歌が聴かれることは少ないんでないかな。

あと、「反抗」ってのを
「面と向かって口論する」「暴力に訴える」
って言うのだけでとらえるから、
そういう目に付く形での反抗でない、
「めんどくさい」がゆえのささやかな(に見える)反抗
(ただ言うことを聞かない、「シカト」する)
ってのでとらえなおすと、
若者たちの「目に見える反抗に対しての嫌悪」
もしくは「反抗→関係ないものへの暴力 
     この八つ当たりへの嫌悪」という
見方があるのではないかな、と思いましたね。

今「目に見える反抗」をする奴は、大事件の扱いになりますので。
いないわけではないのよね、少ないだけで。
で、そういう奴は尾崎豊の歌詞も何も知らんだろう。

つまり変わったのは、若者の感受性ではなく
若者を育成する器である
社会であり、家庭なんだと思うのです。
「若者はいらだっているのだ、知ってたか」 よりも
「それより、物を盗んじゃいかんだろう」
こちらに、より多数の支持が集まる形で
変わったんですよ。

この変化には、彼の歌詞の影響もあると思います。
「知ってたか」と彼が提示したことで
みんなが知り、それが広まり、社会に「観念」として
馴染んでしまった。
すると、もう真新しい感覚ではなくなった。
だから、迷惑をかけてまで行う「反抗」よりも
小さいころからなじんでいる「道徳」「倫理」「常識」
が、再び判断基準となった。

既出の歌詞はその変化に対応できなかった
つまりそこまで普遍性があるわけではなかった
それだけのことなんでない?と。

何やつらつらと訳のわからんことを書きましたけども
要はsjoさんの意見に賛成なのです。

ちなみにエレカシは今聴いても素敵にエッジィですね。
反抗心やわあ。
それとも私が年を食ったのかしら…
歌われている反抗心は
尾崎豊より圧倒的におっさんくさい...

長々とすみません。ではまた。
| こず | 2007/04/21 12:43 AM |
>「窓ガラスに罪はないやんけ」と、鼻で笑ったモンです。当時10歳。
うははははは!たいした小4だ!

こずの文章を読んで、「『めんどくさい」がゆえのささやかな(に見える)反抗(ただ言うことを聞かない、「シカト」する)」という、考えようによっては、物理的な反抗よりもよっぽど対処が難しそうな「反抗」を、どうやって受け止めて、支えられるか、という問題を結局大人が投げ返されているんじゃないかな、と思った。で、記者氏やら精神科医氏やらは、そういうボールを避けているのか、そもそも投げ返されていることにすら気付かずに、相変わらず「今の若者は…」ってぬかしてるんじゃないかな、って思った。

かくいう私も、将来生まれてくるかもしれない自分の子供の「反抗」に、どうやって向き合うんだろうか。
| sjo k. | 2007/04/21 1:21 PM |
何と無しに開いたこのページで書かれている尾崎豊の歌詞についての話は、私が当時思っていたことと近いです。

当時高校生だった私はオートバイが好きで、それ故にかもしれませんが、『盗んだバイク』で走り出されてはたまらない。
持ち主の気持ちを考えろと思ったものです。

何も全ての若者が尾崎豊に心酔するとは限らない。
むしろその歌詞に心酔して、窓ガラス壊したりバイク盗んだりする奴に『反抗』する心を持ったりするのです。

何か不思議なことでしょうか。
精神科医氏や記者氏というより多くの心・意見に触れ、たくさんのヒトを見てきているはずの職業の人の意見とはとても思えません。

人間は科学反応みたいに単一の結果が出るものではないと思うのです。
あまりに無機質な意見で、それに対して寒気すら覚えそうです。

怖くないですか、そんな風に人の心を理解できない人達が・・・。
| さすら | 2007/09/23 9:59 PM |
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